yowoichi43’s diary

ちょっとした小説と、健康について

抜け落ちた風景 その1

                                               一ノ瀬 洋平

 「終わったねぇ」

「しかし、義姉さんがこんなにも 

早く逝くとはおもはなかったね」

「耕ちゃんも、お疲れ様」

「おばさん、ありがとう」

「由紀ちゃんも、大変だったねぇ」

「で、いつまでいるの?」

「母の、遺品を整理してから かえろうと

    思ってます」

「そう」

「じゃ、そろそろおいとましましょうかねぇ」

「ありがとうございました」

翌日から、母の遺品整理をはじめると

妹の由紀が、興味深そうに 古いアルバムを

みていた、

「へぇー、お父さんもお母さんも 若!」

「あたり前だろう」

「アラ!」

妹が、声を上げた

「ん、どうした?」

「ハガキが、はさんであるよ」

そこに、古くて変色した1枚の往復ハガキが

出てきた。

結婚式招待状の、下書きであった

「お兄ちゃん、これ」

"慶乃"

心の片隅に 、封印していた記憶が

いっぺんに蘇り、走馬灯のように駆け巡った。

「お兄ちゃん、大丈夫?:

窓の、外を見ながら、僕はフッと遠くを見

涙が止まらなかった。

あれは、いつだったんだろうか

まだ、僕が20歳そこそこの頃

 

その頃、僕は東京へ就職で行ったものの

馴染めず、帰郷していた。

当時の僕は、人見知りで あまり他人とは

話すことが 得意な方ではなかった。

地元の友人の紹介で、地方では名の通った

大手衣料品販売の会社で、業務として

仕事を始めていた。

まぁ、業務とは名ばかりで、ほとんど雑用

が多く、店舗にでて 接客しないだけでも

マシでした。

そろそろ慣れた頃、急に 本店移動が決まり

慌ただしく、引っ越しをした。

荷物も、ある程度は部屋におさまり

翌日、本店に初出勤であった

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もし、お読みになって、気になる部分がごさいましたら、ご指導をお願いします。