yowoichi43’s diary

ちょっとした小説と、健康について

抜け落ちた風景 その17

    由紀は、慶乃の事故を見てから、法学部を

目指す様になり、受験勉強中で、

「お兄ちゃん、やってみたら?」と勧めてくれた。

僕は渡された、参考書をやってみた、

やりだすと、没頭できて、してる間は、忘れることが出来た、とにかく、忘れるのじゃなく、

考えない様に、勉強に集中した、ただ、目を閉じて

寝ようと横になると、夢の中に、慶乃が現れる、

そして『耕ちゃん、』と呼ぶ声がして、その都度

目が覚めた。

何とか、試験も合格し、何年か後に、事務所も

構えることが出来た。

由紀も同じ道を歩いてくれ、事務所を助けてくれ

たので、なお一層、仕事に没頭した。

未だ、僕の中では、親孝行ができてないと思う内に

親父が他界し、今度はお袋が、逝ってしまった。

考えてみれば、あれからもう、18年も経ってるのか

早いものだ、慶乃のことは、いっときも忘れた事は無く、何か、いつも心に棘が、刺さってるみたいで、晴れたことは無かった。

お袋の49日が過ぎて、「お兄ちゃん、こっちも

少しは、落ち着いてきたから、慶乃さんの

ところに、行ってきたら?

あれ以来、一度も行ってないんでしょう?

今は、そう大きな案件も無いし、事務所は

私と、本間さん、上原さん、野上さんがいるしね

あ、野上さんは友達の、結婚式だと、言っていたわね、でも大丈夫だよ、いっといでよ」

迷っていたが、何時迄もこのままで、いいわけが

無く、行こうと決めた。

由紀の勧めもあり、車は置いて、電車で行く

事になった。

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