yowoichi43’s diary

ちょっとした小説と、健康について

抜け落ちた風景 その8

    もう街は、クリスマス前で 賑わいを見せている、

仕事も、多忙を極めていた、アパートには

ただ寝に帰るだけの、生活で仕事に追われていた。

あのことが、あってから慶乃は、いつものように

優しく、笑顔で接してくれた。

ある日、内線電話が鳴ったので、取ると

「ねー、今度の休みに、買い物に行こう」と、

慶乃が言ってたので、

「いいよ」   「ほんと?行こう」

f:id:yowoichi43:20190527234533j:image

二人揃って、デパートに出掛けるのは久しぶりで、

中は結構な、混み具合で、中々  目的の所へは

たどり着けないでいた、

慶乃が僕の手を引いて、紳士売り場に、連れて

行った。

色々なマフラーを、僕の首に掛けながら、

「耕ちゃんには、どれがいいかなぁ」と、

あれでも無い、この色でも無いと、探しては

首に掛けていた、

僕はというと、ただ何にも言わず、立っていたが

一緒にいるだけで、嬉しかったので、ニコニコ

していた。

 

少し離れた、ところに栞が母親と、ネクタイを

選んでいる。、

「お父様には、どれがいいかなぁ?」

「お母様も選んで!」

「栞が、選んであげて、お父様が

    お喜びになるから」

栞が、なにげに 目を移すと、離れた所に

耕太郎と慶乃の姿が、目に止まった、

「長澤さん?」

「アラ、栞 だれかお知り合いでも?」

「イエ、お母様、人違いですわ」

f:id:yowoichi43:20190527234546j:image